逆風に対峙し 三野会長は初志貫徹を

2015年2月21日・第324号

全国29地域の特定指定地域候補となった交通圏の29準特定地域協議会事務局となっている各協会は、理事会など基幹会議で、意見交換が始まった。

論議の行方が最も注目されているのは、「大阪のためにこの法律が制定された」と言われている大阪だ。大阪タクシー協会は、2月16日に正副会長会議(五役会)を開き、噂された執行部間の不協和音をきれいな和音に聞こえるようリードしたとされる三野会長は、20日の第34回理事会で、「協会として会員皆さまに丁寧に説明して、特定地域になれるように今後進めていくことを全会一致で確認した」と語気を強めた。

しかし、準特定地域協議会が発足した昨年2月以降、協議会会長の檜舞台から一転、「黒子」に徹してきた運輸局は、裁判対策も含めてか、「懇切丁寧な法律の説明」を業界に求めている。

本紙で報道したように運輸局幹部は「改正タクシー特措法はアウトサイダーに対し、強制減車はできない」とし、最初から最悪の事態からの逃げ道を用意しているようにさえみえ、かつて業界が頼りにしていた行政は不安定だ。

橋下市長の「大阪の特定指定を睨んだ」タクシー逆特区提案が検討に入ったと聞く。そしてウーバーのライドシェア福岡参入。タクシー業界にとって逆風は今までになく、強く吹きかかる。これらに鋭く対峙するには特定指定で協会の団結を見せつける必要がある。

大阪が踏ん張れば、他地域も倣う。今が最も苦しい時だが、三野会長には初志貫徹を望みたい。

<山田>

※2月21日付・旬刊「トラポルト」第324号、旬刊「トラポルト九州」第29号「正論・対論」より/写真:2015年2月20日の第34回理事会冒頭、所信表明する大阪タクシー協会の三野会長