ウーバーはタクシーの盲点に楔打つ衝撃
2015年7月11日・第337号
ウーバー・ライドシェアの違法性を巡っては、仏の首都バリで、タクシー運転者が暴動を起こしたことが記憶に新しい。
運転者らは6月25日からウーバーが仲介する安売り白タク行為に抗議して、パリ中心部でウーバー車両を攻撃。焼き討ちを仕掛けるなど手荒い「報復」を行った。
日本でもこの「事件」はテレビやインターネットで配信され、物議を醸している。ウォッチャーによると、日本ではこのような報道があると「もう、そんなタクシーには乗らないようにしよう」という世論が起こり、マスコミもこうした意見に寄り添い、そちらに誘導するのだが、仏の場合はマスコミも含め多くの市民が「暴動に理解を示した」というから驚きだ。
7月1日付けで近畿運輸局自動車交通部長に着任した金指和彦氏は、パリで帰国のため荷物をまとめているときにこの暴動を目の当たりにしたと聞く。彼の目にはどのように映ったのか、ぜひお聞きしたい。また究極的には誰が悪いのか、という視点も忘れずに。
この暴動を受け、ウーバーはPOPアプリサービスを停止。本国では勝ち組とされるウーバーとリフトが仲介するライドシェア。元手不要、他人の褌で相撲も他人にとらせる新商売は、タクシーの盲点とも言える部分を照らし、楔を打ち込まれたかのような衝撃だ。
日本でもロボットタクシーが開発され始めた。自動運転と無人配車が一体化しても、果たして「タクシー」は必要とされるのか。全タク連の緊急決議に則り、生き残るための対策を急ぐ必要がある。
<山田>
※7月11日付・旬刊「トラポルト」第337号、旬刊「トラポルト九州」第42号「正論・対論」より/写真:6月25日、仏首都・パリで発生したタクシー運転者による反ウーバー暴動の映像から