福岡の継続審議 再開は大阪を見てから

2015年4月21日・第330号

4月17日に開催された第2回福岡交通圏タクシー準特定地域協議会において、特定地域の合意審議は継続審議となった。歩調を合わせるかのように、同じ日に開催された第2回久留米市タクシー準特定地域協議会の特定地域合意審議も継続審議となった。

2月、福岡市など4市町で行われたウーバーライドシェア実証実験は国土交通省の中止指導により中断されているが、いつまた惹起するか、福岡のみならず東京も含め戦々恐々とする中での準特定地域協議会開催は、タクシー事業者の意思決定を尻ごみさせたようだ。

しかし審議が再開されるのは、福岡交通圏が6月11日、久留米市が5月11日で、大型連休を挟んたわずかな日程。果たして事業者は合意の方向でまとまるのか、どうか。中井眞紀・(一社)福岡市タクシー協会長は、業界内で意見が1本化しなかった要因に、減車非協力事業者との不公平が是正されるのか懸念されることや下限割れで運賃競争を行う事業者があることを挙げた。

しかも福岡業界の4割が保有車両数が30両以下の零細企業で、来年から、解散した厚生年金基金の償還が始まる。燃料価格の再上昇も囁かれる中、これ以上正直に「我われだけ」が減車・供給削減に応じるなら、生産手段を失うだけ、という強い思いを滲ませた。

特定指定で問題を抱えるのは福岡と大阪だと本紙は報道した。それが現実として露呈してきた。大阪は4月27日の準特定地域協議会で特定地域に合意するか否かが決まる。やはり厳しい地域は大阪の出方を見ようとしている。

<山田>

※4月21日付・旬刊「トラポルト」第330号、旬刊「トラポルト九州」第35号「正論・対論」より/写真:2015年4月17日、福岡市博多区の「ホテルセントラ―ザ博多」で開かれた第2回福岡交通圏タクシー準特定地域協議会の模様